ハムスターの診察


●ハムスターの検査
ハムスターは人間と同じ哺乳類動物なので、人間と同じような体の構造をしています。ですから人間がかかる病気のほとんどがハムスターでも起こっているはずです。しかしハムスターは人間に比べると、小さくてストレスにも弱い動物なで現在の獣医学の技術で実施できる検査・治療は限られています。その点で最善を尽くしても分からないこと、できないことも多く、その結果、飼い主様のご期待に副えないことも、しばしばあるように思い大変申し訳なく思います。獣医学が進んでもっと多くのことが分かるまでは何卒、ご容赦ください。謙虚に勉強させていただきます。

1、問診:飼育の状況、食事の内容、食べ方を飼い主様から確認します。

2、視診、触診、聴診:外から観察することで脱水、衰弱、体型、呼吸数、口内耳内の色、歩き方や毛、目の状態を調べます。首の後ろのたるんだ皮膚をしっかり持てば短時間抑えることもできます。お腹を触診することによって癌を見つけることがあります。胸部を聴診することで心臓病や肺炎について調べます。

3、皮膚検査:毛の抜ける場所、抜け方、皮膚の赤みについて外観します。毛を顕微鏡で観察するとダニ類、細菌、カビなどを認めることがあります。

4、便検査:下痢や軟便の原因となる各種の寄生虫(条虫、ギョウ虫、トリコモナス)を認めることがあります。直接便を観察する方法と便の中の寄生虫を集めて見る方法(浮遊法)があります。残念ながらウイルスは見えません。

5、尿検査:排尿まで待つか、もしくは自宅で採尿したものを持ってきてもらいます。腎臓病、肝臓病、糖尿病、膀胱炎などがわかることがあります。

6、レントゲン検査(造影検査):骨折や心臓、肺の様子が分かります。袋に入ってもらい短時間で撮影していますが、適切な姿勢がとれないことも多いです。

7、血液検査:内臓疾患(肝臓、腎臓、糖尿病など)を診断するためには本来なら必須の検査です。しかし目の血管が集まっているところを潰して採血しますが、痛みや出血の問題から実施するのが難しいのが現状です。

8、試験的な薬物投与による診断:以上のようにハムスターに実施可能な検査は限られているので確定診断がつかないまま治療しなければならないケースも多くあります。副作用が少ない薬剤ならば、試験的に短期間投与して症状の変化をみることで診断が得られることもあります。